動かないことで発症する生活不活発病について知りましょう。
生活不活発病とは?
高齢者や障碍者は、若い健常者に比べると、
どうしても動きにくいですよね。
そうすると、どうしても動かなくてはいけない時以外は、
動きたくなくなってしまいます。
そうすると、「生活が不活発な状態」になります。
この生活が不活発な状態が原因で起こる病気を
生活不活発病と呼びます。
生活不活発病は、医療用語では廃用症候群と言います。
生活不活発病は、脳卒中など後遺症が残るような
病気の後の療養期に発生しやすい病気で、
療養期にベッド上から動かないことで
そのまま寝たきりになってしまうことも多かったのです。
でも、2011年の東日本大震災後は、
高齢者が長期の避難所生活を余儀なくされることで、
「動きたくない」ではなく「動くに動けない」状態から
生活不活発病になることが広く知られるようになりました。
生活不活発病になるとどうなる?
動かないことで起こる生活不活発病は、
全身の機能を低下させます。
「動かないことで起こるなら、筋力が低下するだけじゃない?」
と思うかもしれませんが、そんなことはないんです。
生活不活発病は、全身のあらゆる機能が低下しますので、
身体の機能だけではなく、頭や心の機能までも低下します。
生活不活発病の症状を、筋骨格系、全身への影響、
精神や神経への影響の3つのカテゴリーに分けてご紹介します。
まずは、筋骨格系からです。
生活不活発病になると、筋力が低下するだけでなく、
筋肉の萎縮、骨の萎縮、関節拘縮、皮膚の萎縮、
床擦れ(褥創)などの症状が現れます。
全身への影響については、心肺機能の低下や起立性低血圧、
食欲不振や便秘など消化器機能の低下、尿量の減少、
下肢の静脈血栓症などです。
そして、精神や神経への影響は、うつ状態や知的活動の低下、
周囲への無関心、自律神経不安定などがあります。
これらの症状を見てもわかるとおり、
生活不活発病はありとあらゆる機能を低下させる病気なのです。
生活不活発病の予防法
では、生活不活発病を予防するには
どうしたら良いのでしょう?
生活不活発病の予防は、とにかく動くことです。
動くことが生活不活発病を予防します。
高齢者が、自分は生活不活発病になるリスクが高いこと、
そして動く必要があることを意識するだけでは不十分です。
周囲の人も一緒に活動への参加を促すことが大切なのです。
家庭内の役割を与えたり、一緒に歩く、
地域活動への参加を促すなどをして、
高齢者が生活不活発病になることを予防しましょう。
また、病気や怪我をすると、
「安静第一」、「無理は禁物」と「動いてはいけない」
と思い込んでしまいますので、注意してください。
そして、自宅内に手すりをつけたり、段差をなくすなど、
動きやすい環境づくりをすることも
生活不活発病の予防には大切なことです。
生活不活発病は寝たきりの原因になります。
どんどん動いて予防していきましょう。