麻疹は現在の日本では、排除状態に!麻疹について知りましょう。
日本は麻疹が排除状態
世界保健機関(WHO)は、
日本には土着の麻疹(はしか)ウイルスが
いない排除状態であると認定しました。
これは、2010年5月以降、日本土着の麻疹ウイルスが
確認されていないことを受けてのものです。
2007~2008年に、
日本では麻疹が10~20代の若者を中心に大流行し、
2008年には麻疹の感染者は1万人を超え、
海外の麻疹対策を行っている国からは、
日本は麻疹輸出国とまで言われるようになりました。
それ以降、厚生労働省を中心に麻疹対策に本格的に取り組み、
通常なら麻疹の予防接種は1歳と小学校入学前の2回ですが、
2008年から5年間限定で
中学1年生と高校3年生に対象を広げて
予防接種を実施したところ、徐々に患者数が減り、
2014年には麻疹の感染者は463人にまで減少しました。
この463人は日本の土着ウイルスに感染したわけではなく、
海外から持ち込まれたウイルスに感染したケースでした。
WHOによる麻疹の排除状態の認定は、
西太平洋地域ではオーストラリア、マカオ、
モンゴル、韓国に続いて5カ国目となります。
麻疹はどんな病気?
では、麻疹はどんな病気なのでしょうか?
麻疹は空気感染、飛沫感染、接触感染と
3つの感染経路を持っていて、
潜伏期間は約10日間となっています。
その後、発熱や鼻水、咳といった風邪の症状が現れ、
それが2~3日続いた後、39℃以上の高熱と発疹が現れます。
麻疹の恐ろしいところは、
患者1000人に1人という高い割合で脳症を発症することです。
脳症が発症すれば、
死に至る危険もありますし、後遺症が残ることもあります。
また、脳症以外にも
中耳炎や肺炎などの合併症も起こりやすく、
入院率は40%と高いことも麻疹の特徴です。
排除状態でも予防接種は必要?
日本が麻疹「排除状態」と認定されたなら、
麻疹の予防接種は必要ないの?と思うかもしれませんが、
決してそんなことはありません。
予防接種はきちんと行って、
しっかりと麻疹予防をしなくてはいけないんです。
なぜなら、日本土着のウイルスは撲滅できたとしても、
海外から麻疹ウイルスが持ち込まれる危険があるためです。
そのウイルスに感染したら、当然麻疹を発症します。
2014年の日本の麻疹患者数は463人でしたが、
すべて海外から持ち込まれたウイルスによる感染でした。
さらに、麻疹ウイルスは感染力が非常に強く、
海外で1人でも麻疹にかかり、
感染力を持っている状態の人が日本に入国したら、
一気に流行が広まる恐れがあります。
そのため、麻疹の予防接種はきちんと受けて、
麻疹にかからないようにしなくてはいけません。
1人1人がきちんと予防接種を受けて、
麻疹の予防対策をしておくことが、
麻疹を流行させないためには大切なことなんです。