マダニが媒介する病気、怖いライム病について知っておきましょう。
ライム病とは?
ライム病という病気を聞いたことがありますか?
ライム病とはボレリアという細菌に感染することで
発症する感染症です。
ボレリアは野ネズミや小鳥などが保菌動物で、
マダニが媒介しています。
つまり、ボレリアに汚染されたマダニに咬まれると、
ライム病に感染するんです。
マダニが媒介する病気というと、
致死率が高い重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が有名ですが、
ライム病もマダニが媒介しています。
咬まれたマダニがSFTSウイルスに汚染されていればSFTSに感染し、
ボレリアに汚染されていればライム病に感染します。
ライム病は欧米に多い感染症で、
欧米では年間数万人が感染していますが、
日本ではあまり報告数は多くありません。
でも、1986年に日本で初めてライム病患者が報告されて以降、
現在までに数百人の感染者が出ています。
ライム病の症状は?
ライム病はマダニに咬まれた後、数日から数週間後に発症します。
感染初期には、咬まれた箇所を中心とした遠心性の紅斑が現れ、
さらに発熱や筋肉痛、関節痛、悪寒、頭痛など
インフルエンザと似たような症状が出ることもあります。
そして、病原体が全身に拡散することで、皮膚症状や髄膜炎、
顔面神経麻痺などの神経症状、不整脈など心疾患、関節炎、
筋肉炎、眼症状など様々な症状が現れます。
この状態を播種期と呼びます。
さらに感染してから数ヶ月から数年後の慢性期には、
播種期の症状に加えて慢性関節炎や慢性萎縮性皮膚炎、
慢性脳脊髄炎などが見られるようになります。
同じようにマダニが媒介するSFTSのように
致死率が高いわけではなく、
特に日本でのライム病は重症化することは少ないのですが、
ライム病はマダニに咬まれてから
数年間もその症状に悩まされることがあるんです。
ライム病の予防や対策
では、ライム病を予防するにはどうしたら良いのでしょう?
アメリカにはFDAの認可を受けたワクチンがありますが、
日本では使用できませんので、
ワクチンによる予防はできません。
ですから、マダニに咬まれないようにする必要があります。
まだには春から初夏にかけてと秋に活発に活動しますので、
その時期にマダニが生息しているような野山に入る時は、
むやみに藪の中に入らないようにしましょう。
そして、虫除けをして長袖長ズボンを着用し、
袖口を絞ってマダニが衣服の下に入り込まないような
工夫をしてください。
また、白っぽい服を着ると、
マダニが服に付いているかどうかをすぐに判別できます。
もし、マダニに咬まれていることを発見したら、
自分で剥がそうとせずに、医療機関を受診してください。
マダニが咬んでもすぐに感染するわけではありません。
ライム病の場合、48時間以上マダニが肌に取り付いて
吸血する必要がありますので、焦らずに医療機関で、
適切にマダニを除去してもらいましょう。
自分で無理に剥がそうとすると、
マダニの身体の一部が皮膚の中に残り、
感染のリスクが高まる可能性があります。
暖かい季節は、
レジャーで野山に入る機会も多くなると思いますが、
暑いからといって肌の露出はせずに、
マダニに咬まれないようにしっかりと対策をしておきましょう。