若年性認知症は18~64歳までに発症する認知症。利用できる制度を知っておきましょう。
若年性認知症とは
認知症というと、高齢者限定の疾患と思っていませんか?
認知症は、高齢者じゃなくても、
発症する可能性があるのです。
18~64歳までに発症した認知症を
若年性認知症と呼んでいます。
若年性認知症の患者は、
現在推計で約4万人いると言われていますが、
そのうちの40%が脳血管性認知症で、
25%が若年性アルツハイマー病です。
脳血管性認知症は、脳卒中の後遺症から起こりますが、
若年性アルツハイマー病は、遺伝によるものが
ほとんどです。
どちらの若年性認知症も、40~50代で発症することが
多いのが特徴です。
40~50代というと、働き盛りの年代です。
若年性認知症を発症すると、金銭面の問題だけでなく、
介護の問題も出てきますので、患者本人だけでなく、
家族にも大きな負担がかかってきます。
若年性認知症で利用できる制度
身近な人が若年性認知症と診断されたら、
金銭面や介護の問題などの負担を最小限にするために、
利用できる制度を知っておきましょう。
まずは、自立支援医療制度です。
これは、障害によって精神疾患の治療を受けている人
を対象とした医療費補助制度で、
認知症も適応疾患に含まれています。
この制度で、通院医療費の自己負担は1割で済みます。
また、若年性認知症の場合、精神障害者保険福祉手帳を
申請することができます。
所得税や住民税の控除が受けられますし、
様々な福祉サービスを受けることもできます。
若年性認知症の方が40歳以上の場合は、
介護保険サービスも利用できます。
要介護度によって、受けられるサービスは異なりますが、
居宅サービスや施設サービスなどを利用すれば、
介護者の負担を軽減することができるでしょう。
これ以外にも、利用できる医療制度やサービスは
ありますので、病院のソーシャルワーカーや
各市町村の窓口で相談してみて下さい。
民間レベルでの支援
ここ数年で、若年性認知症という病気があることは、
世間一般にも知られるようになってきていますが、
若年性認知症に対する理解や受け入れ制度の確立は
まだまだ進んでいません。
医療制度や介護保険を利用して、金銭面での負担は
少なくても、若年性認知症の患者やその家族が、
限られた時間や病状の中で働いたり、外へ出て行く
ということは、なかなか難しい状況にあります。
そんな中、NPOやNGO、家族会などが中心となって、
若年性認知症の人に働く場所を提供したり、
交流会の開催などが少しずつ進んでいます。
若年性認知症の人にとって、
周囲の理解がある中で働くことは、
良い刺激にもなりますし、同じような状況の人と
交流することは、家族にとってもプラスになるでしょう。
まだまだ若年性認知症への理解や社会の受け入れは
不十分ですが、草の根レベルでは少しずつ前進しています。
このような動きが、さらに進んでいくと良いですね。