脳梗塞はスピード勝負です!脳梗塞のチェック方法を覚えましょう
増える脳梗塞患者
脳梗塞は、脳の血管が何らかの原因で詰まってしまい、
血流が途絶えてしまうため、
脳細胞が壊死してしまう病気です。
脳細胞は一度壊死すると、再生しませんので、
脳梗塞を発症すると、何らかの後遺症が残る場合が
多いのです。
日本の脳卒中(脳梗塞や脳出血)患者は、
平成20年で約140万人です。
脳梗塞と脳出血の割合は約2:1ですので、
脳梗塞患者は90~95万人いると推測されます。
医療の発達により、脳卒中の死亡率は下がっていますが
患者数自体は減少しておらず、
高齢化と生活習慣病患者の増加に伴って、
今後患者数は増えていくことが予想されます。
脳梗塞の治療は、スピードが命
脳梗塞になると、
後遺症が残るという認識が一般的ですよね。
でも、医療の発達により、治療が上手く進めば、
後遺症が残らない、または軽くなるという治療法が
あるんです。
その治療法とは、
t-PA治療(経静脈的血栓溶解療法)です。
これは、t-PAという血栓を溶かす薬を使うことで、
脳梗塞の原因である血栓を溶かして、
血流を再開させる治療法になります。
一度血流がストップしてしまっても、
脳細胞はすぐに壊死するわけではありません。
そのため、壊死する前に血流を再開させることができたら
脳梗塞の後遺症は残らないのです。
しかし、この治療法は薬剤により
「血液を限界までサラサラにする」ため、
出血しやすいというリスクも伴います。
そのため、持病によっては
t-PA療法が禁忌の場合もありますし、
脳梗塞を治療する神経内科以外に、
脳出血時にいつでも手術可能な脳外科がある病院
でなくては、t-PA療法を行うことができません。
そして、このt-PA療法はスピードが命です。
t-PA療法は、脳細胞が壊死してしまってから始めても
意味がありません。
t-PA療法は、脳梗塞発症後3時間以内に薬剤を
投与させる必要があります。
病院に到着後、検査をして、脳梗塞との診断が下され、
本人や家族にt-PA療法実施の同意を得るには、
最低1時間はかかりますので、
脳梗塞発症後2時間以内には
病院へ到着しなければならないのです。
脳梗塞のサインを見逃すな!
脳梗塞は、梗塞が起こった部位によって、
症状が異なりますが、四肢の麻痺や感覚障害、
歩行障害、意識障害などが主な症状です。
このような症状が明らかに見られる場合は、
すぐに病院を受診しますよね。
でも、「これは脳梗塞かな?」と迷う時には、
なかなか病院を受診せず、t-PA療法の適用外になったり
症状が悪化することもあります。
このような事態を避けるために、
脳梗塞のチェック方法を知っておきましょう。
脳梗塞のチェック方法は、「FAST」です。
F:Face=顔の麻痺の有無を調べます。
顔の片方だけ筋肉が下がっていたり、口角が下がっていませんか?
A:Arm=腕の麻痺の有無を調べます。
両腕を肩の高さまで上げると、
片方だけダランと下がってきませんか?
S:Speech=言語の症状を調べます。
言葉が出にくい、上手く話せないなどの症状はありませんか?
T:Time=上記3つのうち、
どれかひとつでも症状が当てはまれば、
脳梗塞の疑いが強いので、すぐに受診しましょう。
この「FAST」は、
救急隊も使用している実践的なチェック方法です。
これは、医師や看護師などの医療職者でなくても、
誰にでも簡単にできるチェック方法ですので、
覚えておきましょう。
このFASTを知っておくことで、
自分や周囲の人が脳梗塞にかかっても、
後遺症が残ることなく、歩いて退院できるかもしれませんよ。