献血は簡単にできるボランティア!血液不足と献血の安全性について知りましょう。
将来、血液が不足する?
血液は、酸素や栄養分を体の隅々に運ぶ役割だけでなく、
止血や免疫機能の役割もあるため、
生命維持には欠かすことができないものです。
血液の役割の一部を補うための薬剤はありますが、
それでは不十分なことが多いため、
大量出血をした場合などには、
輸血は必要不可欠な治療法になります。
24時間365日いつでも必要なときに
輸血できるようにするためのものが、献血です。
しかし、最近は献血者の減少により、
血液が不足しているという問題が起こっているのです。
この血液不足の原因は、少子高齢化です。
献血できる年齢は、16~69歳
(65歳以上は60~64歳の時に献血経験がある人のみ)です。
そして、献血された血液を使う(輸血を受ける)のは、
50歳以上が8割以上を占めています。
つまり、若者世代が献血し、
その血液を高齢者が使用するんです。
そのため、少子高齢化が進むと、
どうしても需要と供給がアンバランスになり、
血液が不足してしまうんですね。
厚生労働省のデータによると、2000年からの10年間で、
10代20代30代の献血率は下がっていて、
2027年には101万人分の血液が不足すると予想されています。
血液が不足すると、救急医療に深刻なダメージを与え、
日本の医療が崩壊しかねません。
献血は健康な人なら、
誰でも気軽に行えるボランティアです。
献血は、各地域の献血ルームやイベントなどで見かける
献血バスで行うことができますので、
進んで献血を行うようにしましょう。
献血の血液にシャーガス病が!
献血された血液は、安全性を確保するため、
様々な検査が行われた上で、
血液製剤として利用されていますが、
2013年6月に献血した人の血液からシャーガス病の
病原体が検出されました。
シャーガス病とは、中南米に生息するサシガメ
という虫によって媒介される感染症で、
心臓障害や心筋炎、心肥大、脳脊髄炎、
肝臓や脾臓の腫脹などの症状が現れます。
今回、中南米出身の40代男性が献血した血液から
病原体が発見されましたが、
この男性は病原体が発見される前にも9回献血していて、
その血液が約10人の患者に
使用された可能性があるとのことです。
輸血の安全対策
今回、献血された血液の中に
シャーガス病の病原菌が混ざっていて、
輸血をした人がシャーガス病に感染する恐れがある
という事故が起こってしまいました。
だからといって、「輸血=危険」なものではなく、
輸血の安全性を高めるため、
様々な対策が採られています。
シャーガス病に関しても、日本赤十字社は、
2012年10月から中南米出身の人や中南米に
4週間以上滞在したことのある人は、
献血の際に受付で自己申告するように促していました。
このほかに輸血の安全性を高めるための対策として、
「献血前に医師の問診や血液検査を行うこと」、
「最初の25mlは細菌混入の可能性があるため、
輸血用には使用しないこと」、
「血液製剤にする前に血液型検査や感染症検査、
核酸増幅検査を行うこと」などが行われています。
輸血の安全性を高めるために、私たちができることは、
問診の際に嘘をつかず、正直に申告することです。
今回のシャーガス病の事故に関しても、
事前にきちんと申告していたら、
予防可能だったかもしれません。
輸血は、現在の医療に欠かすことができないものですし、
突然自分が輸血が必要となる病気や
事故にあう可能性もあります。
安全な血液を十分に確保するためにも、
進んで献血に行き、
事前検査はきちんと受けるようにしましょう。