先進国の中では異例中の異例。日本は、統合失調症治療に薬を処方しすぎる!
1人の患者に複数の向精神薬
2011年度より、
全てのレセプト(診療報酬明細書)データを提供する
厚生労働省のデータベース運用が開始されました。
そのデータの分析から、統合失調症により
精神科に入院している患者の4割が、
3種類以上の向精神薬を処方されていることが
明らかになりました。
先進国では、向精神薬の処方は基本的に1種類、
その薬による副作用を軽減する薬も
最低限しか使用しないのが常識で、
複数の薬物による日本の治療は、依存症や重篤な副作用
最悪の場合死亡に至るリスクが懸念され、
国際的に見ても異例です。
強い不安感を取り除く薬
統合失調症は、脳内の神経伝達物質の異常により
発症するとされていますが、
はっきりとした原因はまだわかっていません。
人が自分のことを悪く言っていると思い込んだり、
ありえない妄想を現実と信じ込んだりします。
幻聴や幻覚に苦しめられ、
順序だてて物事を考えられないので、
患者本人は非常に混乱します。
不安感が強く、感情のコントロールができずに
急に大声で怒鳴ったり泣き喚いたりするので、
他人とのコミュニケーションに障害が生じます。
疲れやすかったり集中力に欠けたりして、
仕事もままならないことが少なくありません。
治療には、主に向精神薬が使用されます。
不安感を取り除き、様々な症状を抑えて
精神の不安定感を解消させるものです。
症状を抑える薬、その副作用を抑える薬・・・
この薬は、効果が現れるのに時間を要しますし、
一時的に症状が安定して見える時期にも
中断せず規則的に飲み続けなければなりません。
回復しても再発することが珍しくない病気ですので、
結果的に非常に長期にわたって服薬することになります。
これまでも、精神科の治療における「薬漬け」の実態は
たびたび指摘されてきました。
薬への耐性がつき、効果が薄まってきた場合に、
薬を変えるなどして対応せず、
何種類もの薬を処方されるケースが非常に多いのです。
また、本来は脳内のバランスを
整えることが最優先ですが、
日本では一つ一つの症状に対応する薬が
それぞれ処方されがちです。
更に副作用を止める薬も大量に処方され、
これではどの薬が何に効いているのか
わからなくなってしまいます。
患者本人の意識向上と周囲の協力が必須
向精神薬は、
依存症からの脱却が非常に難しいとされています。
そのような薬を含む多剤大量処方を
気軽に行ってしまう医師が多いのは大問題です。
しかし、それが野放しにされている状況下では、
自己防衛として患者側の意識向上も大切です。
薬は、言われるがままにただ飲み続けるのではなく
自分が病気をコントロールするのだという
自覚を持って服用しなければなりません。
しかし、統合失調症のように
精神のバランスを欠いている病の中では、
それも容易ではありません。
効果的な治療のためには、
周囲の協力が欠かせないものとなってきます。