塩分の摂り過ぎは、高血圧だけでなく様々な病気を招くことを知っていますか?
塩分の摂り過ぎ=高血圧
日本人は、1日平均11~12gの塩分を摂取しています。
これは、世界的に見てもかなり多く、
欧米人の1日平均塩分摂取量は8g前後と言われています。
塩分を摂り過ぎると、様々な病気を招くんです。
塩分を摂り過ぎると、高血圧になりやすいことは、
みなさんご存知だと思います。
高血圧になると、動脈壁に負担をかけますので、
動脈硬化を促進し、心筋梗塞などの心疾患や
脳出血などの脳卒中のリスクを高めることになります。
塩分を過剰摂取すると、
体内のナトリウム濃度が高くなります。
ナトリウム濃度が高くなると、体内に水分を溜め込むことで
ナトリウム濃度を下げようとする作用が働きます。
体内の水分量が多くなれば、自動的に血液量も多くなるので
血管壁に圧力がかかり、血圧が高くなるのです。
塩分の摂り過ぎ=胃がん
塩分の過剰摂取は、胃がんのリスクも高めます。
日本人の部位別がん死亡数で、
胃がんは第2位で、欧米人と比べると、
胃がんの罹患率が非常に高いという特徴があります。
国立がん研究センターが、
日本の4地域に住んでいる約4万人の塩分摂取量と
その後10年間の追跡調査を行ったところ、
塩分摂取量ごとに5つのグループに分けて評価した場合、
最も塩分摂取量の少ないグループに比べて、
最も多いグループの胃がんリスクは男性で2.23倍、
女性で1.32倍になったという結果が出ました。
また、いくらや塩辛など塩分含有量の多い食品を
ほぼ毎日食べている人は、食べる習慣のない人に比べて、
胃がんのリスクが2~3倍にも高まることがわかっています。
塩分の過剰摂取は、
胃の粘膜を保護している粘液を破壊して、
炎症を起こしやすくします。
これは慢性胃炎を招き、胃がんになりやすくするだけでなく
ピロリ菌に感染しやすい状態になっているため、
胃がんのリスクが高くなると考えられます。
塩分の摂り過ぎ=多発性硬化症
最近の研究で、塩分の過剰摂取は
多発性硬化症を招くことがわかりました。
多発性硬化症とは、中枢性脱髄疾患の一つで、
視力障害や運動障害、小脳障害、感覚障害、
膀胱直腸障害などの症状が出る疾患のことで、
日本では特定疾患に指定されている難病です。
アメリカのエール大学などの研究チームによると、
マウスに塩分の高い食事を与えていると、
神経系の自己免疫疾患に密接に関与している
Th17細胞が急激に増加し、炎症の進行が確認され、
塩分の過剰摂取と多発性硬化症の発症リスクは
関連があるとしています。
塩分の摂り過ぎは、
このように様々な病気を引き起こす可能性があるんです。
厚生労働省は、
1日平均の塩分摂取目標値を男性で1日9g未満、
女性で1日7.5g未満としています。
さらにWHOでは、
高血圧予防のためには1日5g未満を推奨しています。
今までの食生活を見直して、
出汁やお酢、ハーブ類や香辛料などを上手に使うことで、
減塩しつつ、美味しさはキープできるように
工夫していきましょう。