国内で排除状態となった麻疹。それでも、予防接種は必ず受けるようにしましょう。
国内で麻疹は排除状態に
厚生労働省研究班は、麻疹(はしか)について、
国内では「排除状態に至った」との見解をまとめました。
WHOは排除状態の定義として、
「土着ウイルスの感染が1年以上確認されていないこと」
などを挙げていますが、
日本の土着ウイルスである「D5」という型は、
2010年5月以降確認されていません。
日本では2007年~2008年にかけて、
はしかが大流行しましたが、その後は患者数が激減していて
2010年~2012年にかけてのはしかウイルスの型は、
海外から持ち込まれた型であり、
大きな流行には至っていません。
国内で土着ウイルスが排除された理由として、
乳幼児の麻疹ワクチンの接種率が95%と
高い水準で推移していて、十分な免疫を持つ人が
増加したことなどが考えられています。
麻疹はどんな病気?
麻疹は、麻疹ウイルスによる感染症で、
世界では5歳未満の全死亡の4%を占めているほどの
重大な感染症です。
10~12日間の潜伏期間を経て、38~39度の発熱と共に、
咳や鼻水、目脂などの症状が現れます。
これらの症状が3~5日間続いた後、
いったん解熱傾向になり、
口腔内に小さな白い発疹(コプリック斑)が出てきます。
この後、再び39~40度程度の発熱があり、
小さな赤い発疹が首筋から体全体へと広がっていき、
3~4日ほどで解熱し、発疹は1ヶ月ほどで消失します。
麻疹の恐ろしい点は、
中耳炎や肺炎などの合併症を起こしやすく、
入院率も40%と高いことです。
また、脳炎も0.1%程度の確率で併発し、
後遺症が残ったり、死に至ることもあります。
麻疹の治療は、
麻疹ウイルスに対する特効薬がないため、
対症療法のみになります。
麻疹の予防は、ワクチン接種
麻疹の好発年齢は、生後6ヶ月~2歳ですが、
2007年~2008年の流行時は10~20代の若者の感染者が多く、
成人の麻疹患者の増加が社会問題になっています。
また、麻疹の感染経路は
空気感染、飛沫感染、接触感染と多岐にわたっていて、
ウイルスの感染力も非常に強いという特徴があります。
麻疹の予防には、ワクチン接種が重要です。
今回、厚生労働省研究班が「国内で麻疹排除」
という見解をまとめたのは、
ワクチン接種率が高いためと考えられています。
現在は、風疹と麻疹の両方を予防できる
MRワクチンがありますので、お子さんが1歳になったら、
できるだけ早くMRワクチンを接種するようにしましょう。
麻疹の予防接種は、定期接種に分類されていますので、
原則無料で接種できます。
「国内で麻疹排除」といっても、
海外からウイルスが持ち込まれることはありますので、
麻疹の予防接種は必ず受けておくようにしましょう。