ガン治療、動脈硬化予防に効果がある身近な飲み物。コーヒーパワーが次々と解明
「コーヒーは身体に悪い」は昔話?
先日、コーヒーに含まれるポリフェノールの一種
「クロロゲン酸類」が、メラニン色素の生成を抑制することが、
神戸大・市橋教授らの実験により確認されました。
コーヒーを多く摂取する人はシミができにくい、
という仮説を裏づけた形です。
過去には、眠れなくなる、胃が荒れる、カフェイン中毒になるなどと、
悪い点ばかりが取りざたされたこともありましたが、
研究が進むにつれ、コーヒーの持つ意外なパワーが
いくつも明らかになってきました。
コーヒーのポリフェノールで動脈硬化予防
ポリフェノールは、赤ワインやチョコレートに多く含まれ、
抗酸化作用など健康に有益な効果があるとして周知されています。
日本人は、無意識のうちにコーヒーから多くの
ポリフェノールを摂取しています。
コーヒーの成分と言うと、まっ先にカフェインが思い浮かびますが、
実はポリフェノールも豊富に含まれていて、
含有量としてはカフェインよりも多いぐらいなのです。
数々の研究で、コーヒーを毎日一定量飲んでいる人は、
「HDL」という物質が増加することがわかりました。
HDLはコレステロールが動脈内に付着するのを防ぎ、
動脈硬化予防に効果を発揮します。
これは、コーヒーポリフェノールに特徴的に見られる作用です。
認知症やアルツハイマー病に関しても、
2009年にフィンランドとスウェーデンの合同チームが
発表した研究結果によれば、コーヒーを1日3~5杯飲む中高年は、
飲まない人に比べ、高齢になった時の発症リスクが
60~65%軽減するとのことです。
がん治療にも期待!抗がん剤の効果がカフェインで上昇
抗がん剤を投与する際にカフェインを併用すると、
効き目が上昇したり、効かない抗がん剤が効くようになる
というデータがあり、実際にコーヒーのカフェインを使用した
併用療法を行っている大学病院もあります。
脚を切除しなければならないほどの骨肉腫が縮小し、
摘出手術が可能となって、歩けるまでに回復した例も。
また、スウェーデンのルンド大学による乳がんの再発率調査では、
タモキシフェンという抗がん剤を使用している患者で、
1日2杯以上のコーヒーを飲む人は、全く飲まない人に比べ
再発率が半分以下だったという結果が出ています。
どのような相互作用による効果なのか、今後の究明が待たれますね。
理想的なコーヒーの飲み方は
コーヒーを深煎りすると、せっかくのクロロゲン酸が減少してしまいます。
動脈硬化予防など、身体のことを考えてコーヒーを飲むなら、
浅めに焙煎したものにしましょう。
空腹時を避け、1日に3~5杯程度を何度かに分けて飲みます。
缶飲料やインスタントコーヒーでも、有効成分を摂取することはできますが、
砂糖やミルクを採り過ぎないよう注意が必要です。