咬まれてしまったらどうすれば?身近に棲息する外来毒グモ「セアカゴケグモ」
日本の毒グモはどんな毒を持っている?
先日、ヘビーメタルバンドSlayerのギタリスト、ジェフ・ハンネマン氏の
死去が報じられ、その記事中にこのような記述がありました。
「死亡との関連は不明だが、約2年半前にクモに咬まれたとみられる傷が悪化。
腕の切断が検討される深刻な症状となり・・・」他の記事をあたってみると、
毒グモに咬まれて壊死性筋膜炎を発症、2年間にわたる療養生活を送って
いたのとことでした。
どこでどんなクモに咬まれたのかは明記されていませんが、
ショッキングなニュースです。
近頃は日本でも、外来種の毒グモが各地で確認されており、不安を覚えた方も
いらっしゃるのではないでしょうか。
日本の在来種には、壊死性の毒を持つクモは存在しません。
特定外来生物であるセアカゴケグモの有する毒も神経毒で、
重篤な症状を引き起こすことは稀です。
セアカゴケグモの棲息域が広がっている
セアカゴケグモは、もともとはオーストラリアやニュージーランドに棲息し、
日本では1995年に大阪府高石市で初めて確認されました。
船荷などに付いて日本に上陸したものと思われます。
2008年の調査による分布図では、関西地方以西に集中していましたが、
現在では生息地域が分散し、宮城県、茨城県、神奈川県などでも
確認されています。
小さいながらも、名前どおりの特徴的な外観により、
一目で判別がつくでしょう。
黒くて丸いからだの背中に、橙色のラインが縦に入っています。
毒グモはこんな場所にひそんでいる
セアカゴケグモは、日当たりがよく暖かい、狭いスペースを
好んで巣を張ります。
工場、排水溝のふた、公園内のブロックや墓石のすき間など、
人工物から発見されることが多く、掃除をした時に触れてしまったり、
着衣にクモが入り込んでしまうことがあります。
基本的におとなしく、素手で触らない限り攻撃してくることは
滅多にありません。
手当ての基本は流水で洗うこと
セアカゴケグモに咬まれると、赤く腫れて痛みが次第に広がり、
しびれを生じます。
リンパの流れにより毒が回ると、咬まれた場所以外にも疼痛を感じ、
悪寒や吐き気、嘔吐、発熱、異常な発汗など様々な症状が現れます。
日本における重症例はごくわずかで、死亡にいたる心配はまずないと
言ってよいでしょう。
万が一咬まれてしまったら、患部を流水でよく洗い流します。
包帯や絆創膏は使用せず、なるべく早く医療機関で診療を受けます。
その際、咬んだクモの死骸を持参すると、診断が早くつき
適切な治療に役立ちます。