難病であるパーキンソン病の仕組みが少しずつ解明されています。
パーキンソン病の原因物質を発見
東京と医学総合研究所の研究チームは、
神経難病のパーキンソン病の原因となる
細胞内の異常を除去する時に作り出される物質を
突き止めたと発表しました。
遺伝性パーキンソン病は、
「ピンク1」と「パーキン」という2つの遺伝子が働かずに、
異常なミトコンドリアが蓄積し、
神経細胞がが失われて発病することがわかっていますが、
今回の研究ではピンク1とパーキンの2つの遺伝子が
異常なミトコンドリアを除去する仕組みがわかり、
除去する際に「ユビキチン」という
たんぱく質とリン酸が結合することを突き止めました。
研究チームは、
「パーキンが働かない場合、
もしくはピンク1やパーキンの処理能力を超える
異常ミトコンドリアが生じた場合は、
リン酸と結びついたユビキチンが急増し、
パーキンソン病を発病する。
このユビキチンを測定すれば、
早期発見できるようになるかもしれない」と話しています。
パーキンソン病とは?
パーキンソン病とは脳内のドーパミン不足と
アセチルコリンの増加による進行性の神経変性疾患で、
厚生労働省の特定疾患(難病)に指定されています。
パーキンソン病の症状は、
運動症状と非運動症状に分けられます。
運動症状には、
安静時にも指や上下肢、顎などが震えてしまう「安静時振戦」、
力を抜いた状態で他人が関節を動かそうとすると
抵抗が見られる「筋固縮」、
体を動かすことが難しくなり、
動作がゆっくりで小さくなる「無動」などがあります。
このほか、瞬きが少なくなり、表情が乏しくなる仮面様顔貌も
パーキンソンの特徴的な症状で、
震えて体が固くなり、動きにくくなることが、
パーキンソン病の主症状と言えるでしょう。
運動症状以外の非運動症状には、
自律神経の機能低下による便秘や低血圧、
発刊障害、排尿障害が起こりますし、
感覚鈍磨や抑うつ症状など精神症状も出てきます。
また、高確率で認知症を併発することがわかっています。
パーキンソン病は、10~80代まで幅広く発病しますが、
中年以降の発症が圧倒的に多く、
症状は数年から数十年かけてゆっくり進行していきます。
パーキンソン病の治療
現在、パーキンソン病の根本的な治療法はなく、
対症療法のみとなっています。
パーキンソン病の治療法は、内服療法、外科的療法、
リハビリテーション療法の3つがありますが、
主な治療法は内服療法とリハビリテーション療法です。
パーキンソン病は脳内のドーパミン不足が原因のひとつですが、
内服療法は薬剤でこのドーパミンを補うものです。
また、パーキンソン病は体を自由に動かしにくくなるため、
リハビリをすることで、体の運動機能を維持させていきます。
どちらも、根本からパーキンソン病を
治療するわけではありませんが、
患者さんのQOLの向上には非常に有効な治療法になっています。
現在はパーキンソン病は「難病」に分類されていますが、
上記のニュースのようにパーキンソン病の
原因にかかわる物質が発見されたことで、
今後は早期発見・早期治療が可能となり、
パーキンソン病の進行を遅らせることが
可能になるかもしれません。
また、研究が進めば、
根本的な治療法も開発されていくことでしょう。