「米のとぎ汁」のような下痢になる急性胃腸炎、コレラとはどんな病気?
南スーダンでコレラが流行
アフリカの南スーダンでコレラが流行しています。
世界保健機関(WHO)によると、
5月26日までに南スーダンではコレラに670人以上が感染し、
23人が死亡しているとのことです。
現時点でコレラ患者は、首都のジュバで確認されていますが、
首都以外の地域でもコレラ疑いの未確認患者が
多く見つかっています。
WHOは、現在の南スーダンの状況を
「今はまだ流行の初期段階である」と警告しています。
さらに、南スーダンでは現在広範囲で豪雨が発生していて、
今後は豪雨の影響で衛生状態が悪化し、
流行が拡大していくことが懸念されています。
コレラとは?
コレラは、コレラ菌に感染することで引き起こる急性胃腸炎で
コレラ菌に汚染された水や
食べ物(主に魚介類)を摂取したことで感染します。
WHOの調査によると、
全世界で年間20~30万人が
感染していると推計されていますが、
感染のほとんどが発展途上国で起こっているため、
正確な患者数はWHOの調査よりももっと多いと言われてます。
現在の日本では、コレラはほとんど発生していませんが、
海外旅行などの渡航先で感染したものが日本帰国後に発症したり
輸入された魚介類を十分に加熱せずに食べたことで
発症するケースがありますので、
輸入感染症として位置づけられてます。
また、感染症法では3類感染症に指定されています。
コレラの症状は?
コレラに感染すると、
数時間から5日以内(通常2~3日)の潜伏期間を経た後、
突然の下痢と嘔吐で発症します。
症状の程度は体内に侵入した
コレラ菌の量にもよって異なりますが、
軽症の場合は数回の下痢で症状が治まり、自然に回復します。
さらに、軟便程度でほぼ自覚症状がないこともあります。
症状が重い場合は、1日数十回の下痢や嘔吐が起こります。
コレラの下痢は、
「米のとぎ汁」のような白っぽい水様の下痢が特徴で、
1日に10~数十リットルもの水分が下痢として排泄されます。
このくらい重症になると、脱水症状が一気に進み、
34度台まで体温が低下し、血圧低下や頻脈、
血行障害、意識障害、痙攣などの症状が現れ
死亡することがありますので、
一刻も早く治療を始めなければいけません。
コレラの治療と予防法
コレラの治療は、抗生物質の投与と下痢と嘔吐により
失われた水分を補給するための輸液が
主な治療法になります。
適切な治療を行った場合、
死亡率は2%前後とそれほど恐ろしい感染症ではありません。
コレラの予防法は、コレラが発生している国へ渡航したら、
生水や氷、十分に加熱されていない魚介類は
避けるようにしましょう。
氷の上に飾ってあるカットフルーツや
プールの水から感染した例もあります。
また、経口ワクチンはありますが、
日本では承認されていないものですので、
個人輸入に対応している医療機関で摂取する必要があります。