HIVは将来的に撲滅可能?HIV・エイズの最新事情を知りましょう!
同性愛男性にHIVが流行
HIVは感染しても早期に治療を開始すれば、
一生発症せずに済むという段階まで
治療が確立されてきていますが、
まだまだ「HIV=死」というイメージは大きいですよね。
そんなHIVの最新事情をご紹介します。
世界保健機関(WHO)は、
世界中の同性愛男性の間で
HIVの感染が増加していると警告しています。
WHO・HIV対策局のゴットフリート・ヒルンシャル局長は、
爆発的な流行だとして危機感を示しています。
同性愛男性間はもともと
HIV感染のハイリスク群のひとつでしたが、
現在感染率が高まってきていて、
同性愛男性が感染する確率は、
全体平均の約19倍となっています。
この同性愛男性間での感染率の上昇は、
HIV・エイズの治療法が確立されてきて、
HIVとの共生が可能になってきたことを認識した若い世代が、
HIV・エイズへの危機意識や関心を
失っているためではないかと予想しています。
治癒したはずの女児がHIVを再発
HIVに感染している母親から生まれてくる子供は、
少なからずHIVに感染する危険があります。
何の対策もしなければ母子感染の確率は30%、
妊娠初期から母子感染予防の対策を行った場合は
1%以下と言われています。
アメリカのミシシッピ州で、母子感染でHIVに感染した子供に
出生直後から抗ウイルス薬を投与して
HIVの治療した女児は出生から3年経った時点で、
血液中からHIVが検出されなくなったことから、
治療に当たった研究チームは「エイズが機能的に治癒した」
と治癒宣言を行っていました。
しかし、治癒宣言から約1年経った2014年に、
女児から再びHIVが検出され、
抗レトロウイルス薬による治療が開始されました。
今後、女児が再び治癒するのかどうかは不明ですが、
治癒しない場合は一生抗レトロウイルス薬による治療を
続けなければいけません。
2030年にはHIV撲滅可能?
同性愛男性間でのHIV感染流行、治癒宣言した女児のHIV再発と
暗いニュースが多いHIV・エイズの現状ですが、
国連からひとつ明るい発表がありました。
それは、2030年までに
HIVを撲滅できるかもしれないというものです。
これはエイズで死亡した人と
新規でHIVに感染した人の数が、
ここ10年で3分の1に減少したことを受けて、
国連が2030年までにHIVを撲滅できる可能性が
出てきたと発表しました。
国連の報告書によると、
2013年にエイズで死亡した人は前年から
20万人減少して150万人となっていて、
2004~2005年の240万人をピークにどんどん減少しています。
また、HIVの新規感染者も2001年の340万人から
38%減少して210万人となっています。
このままHIV・エイズの啓蒙が進み、
新規感染者が減少していけば、
2030年にはHIVは過去の病気になっているかもしれませんね。
ただ、国連合同エイズ計画の事務局長は、
世界のHIV感染者のうちの約半数は
自分がHIVに感染していると気づかずに生活しているため、
HIV撲滅には程遠いとも述べています。
HIV・エイズを撲滅させるためには、
私たち一人ひとりがHIV・エイズの正しい知識を持って、
予防対策を行っていくしかありません。