お酒に弱い人は心臓も弱い?アルコールの分解酵素について知りましょう。
お酒に強い・弱いは何で決まる?
お酒をたくさん飲んでも酔わない人もいますし、
ほんの少し飲んだだけで顔が真っ赤になる人もいますよね。
お酒に強い・お酒に弱いというのは、
何で決まるのでしょう?
お酒に強いか弱いかは、
アセトアルデヒドを分解する酵素の遺伝子が関係しています。
そもそもお酒を飲むと、胃や小腸でアルコールが吸収され、
肝臓に運ばれます。
肝臓に運ばれたアルコールは、
ADH(アルコール脱水素酵素)によって
アセトアルデヒドへ分解されます。
そして、アセトアルデヒドは
ALDH2(アルデヒド脱水素酵素)によって
酢酸へと分解されて、体外へ排出されるのですが、
このALDH2の遺伝子によって
お酒が強いか弱いかが決まるんです。
お酒に強い人はALDH2が安定していて
正常な活性を持っているのですが、
お酒に弱い人はALDH2の活性が弱いか
欠けていることがわかっています。
このALDH2の活性の強弱は、
持っている遺伝子によって決まります。
日本人はALDH2の活性が弱い人が多いんです。
黒人や白人は、ALDH2の活性が強い遺伝子を
持っている人の割合は100%ですので、
全員お酒に強い人になります。
でも、日本人は活性が強い遺伝子の割合は56%、
活性が弱い人(お酒が弱い人)が40%、
活性がない人(お酒が全く飲めない人)が4%
となっています。
つまり、日本人は4割の人がお酒が弱い、
もしくは全くダメなんですね。
お酒は鍛えれば飲めるようになるのか?
学生時代のサークルの飲み会や会社の飲み会で、
「お酒が弱くても飲んでいれば強くなる!」
と言われたことはありませんか?
元々お酒が弱い人でも、
鍛えれば強くなるというのは本当なんでしょうか?
これは、結論を先に言うと、
答えは「鍛えても強くはならない」です。
お酒の強い・弱いはALDH2の遺伝子で決まりますよね。
遺伝子は持って生まれたものなので、
鍛えても変わらないんです。
でも、確かにお酒を飲んでいれば、
以前よりたくさん飲めるようになった経験が
ある人もいるでしょう。
それは、アルコールの分解のために、
本来なら違う働きをするための酵素を
使うようになったからです。
そうすれば、当然肝臓に負担がかかりますし、
お酒が強くなったわけではないのに、
どんどん飲むと健康を害することになります。
お酒が弱いと心臓も弱い?
お酒が弱い人は、
心筋梗塞にも注意しなければならない
という研究結果が明らかになりました。
アメリカのスタンフォード大学の研究によると、
お酒に弱い遺伝子を持つ人は心筋梗塞になった時に
心臓のダメージが大きくなりやすいことが
わかったんです。
アセトアルデヒドを分解するALDH2 は
心筋梗塞になったときに出てくる
活性酸素の解毒にも関わっていますが、
お酒に弱い遺伝子を持つ5人と
そうではない5人の皮膚細胞からiPS細胞を作って
心筋細胞に変化させて性質を調べたところ、
お酒に弱い遺伝子を持つ人は、心筋梗塞になった時に
活性酸素を解毒する酵素がうまく働かず、
心筋の細胞が死滅しやすいことが明らかとなりました。
お酒が弱い人は肝臓を大切にするだけでなく、
心臓も大切にしたほうが良さそうですね。