2歳以下の子供に多い腸が重なってしまう病気、腸重積について知りましょう。
腸重積はどんな病気?
小さいお子さんが腹痛を訴えた時、
一体何が原因だろう?と悩みますよね。
普通の下痢であれば、
水分補給に注意して様子観察をしても良いのですが、
気をつけたい子供の腹痛の1つに腸重積があります。
腸重積は、その名前の通りで腸が重なってしまう病気です。
服を脱ぐ時の袖のように、
腸の中に腸が入り込んでしまうんです。
多くは小腸の終わりの部分が大腸の最初の部分に入り込んで、
腸重積を起こします。
腸が重なってしまうと、その部分に食べ物が留まってしまい、
その先に送られなくなります。
また、入り込んだ腸は締め付けられることになりますので、
その部分で血流が止まり、出血を起こします。
また、血流が途絶えるため、腸重積が長く続けば、
その部分の腸は壊死を起こして、
そこから腹膜炎に移行して、死にいたることもあります。
腸重積のほとんどは2歳以下の子供です。
子供は腸がまだ未発達なため、腸が重なりやすいんですね。
特に生後6ヶ月から12ヶ月までの子供は要注意です。
大人でも腸内のポリープや腫瘍が引っかかって
腸重積を起こすことがありますが、それほど多くはありません。
腸重積の症状と治療法
腸重積の主な症状は腹痛です。
腸が動くと、入り込んでいる腸が締め付けられますので、
痛みがひどくなります。
腸の蠕動運動は約20分毎に繰り返されますので、
20分毎に腹痛が起きる場合や
赤ちゃんが20分毎に激しく泣く場合は
腸重積を疑いましょう。
また、腸重積が起こった部分に食べ物が留まってしまうため、
腸重積では嘔吐も起こります。
そして、粘血便も腸重積の特徴的な症状です。
腸重積を起こした部分は腸が締め付けられて出血するため、
便に血液が混ざるんですね。
腸重積の便は、「イチゴジャムのような便」と
表現されることが多いので覚えておきましょう。
腸重積の主な治療法は高圧浣腸です。
高圧浣腸は1mくらいの高い位置に設置した
造影剤を重力の力を利用して、
肛門から腸内へと流し込みます。
その造影剤の流れる力で
入り込んでいる腸を押し出すんです。
腸重積の治療は時間との勝負です。
時間が経てば経つほど、腸は壊死してしまいます。
発症後24時間以上経つと、腸が不可逆的に壊死し始めて、
腹膜炎を併発するリスクが高くなりますし、
高圧浣腸では整復できなくなります。
高圧浣腸で整復できないと、
外科的手術で腸重積を起こしている部分を
切除しなければいけません。
ロタウイルスワクチン後は要注意!
腸重積は風邪から腸管のリンパ節が腫れて、
それに引っかかって起こると考えられていますが、
ロタウイルスのワクチンを接種した後も
腸重積になりやすいと言われています、
アメリカの調査では、
ロタウイルスの経口生ワクチン「ロタテック」接種後に
腸重積の発症リスクが高くなることがわかっています。
日本でもロタテックは使われていますので、
ロタウイルスワクチンを接種した後1週間は、
腸重積に注意してお子さんを
観察するようにしてください。
ロタウイルスのワクチン接種後に、
間歇的に繰り返す腹痛や
イチゴジャムのような粘血便などの症状が
2歳以下の子供に出た場合は、
腸重積を疑って一刻も早く医療機関を
受診するようにしてください。