肥満で脳が小さくなるの?最新の肥満事情について知りましょう。
世界の人口の3割が肥満
アメリカのコンサルティング会社の調査によると、
現在の世界の人口約70億人のうち、
その3割にあたる21億人がBMI値(体重÷身長の二乗)が
25以上の肥満という結果が出ています。
約3人に1人が肥満と考えると、この問題はとても大きいですよね。
しかも、肥満人口は今後さらに増え続け、
2030年には世界の成人人口の約半数にも達する
との見通しを述べています。
現在の世界の死因の約5%は肥満が原因のものとされていますし、
医療費や生産性の損失において、
約237兆円(世界GDP総額の約2.8%)を
世界経済に生じさせているとのことです。
これは、喫煙や武力闘争による損失と同程度とされています。
肥満が原因で237兆円の損失なんて、驚きですよね。
日本人は肥満が少ないから大丈夫と思っているかもしれませんが、
平成23年の「国民健康・栄養調査結果の概要」によると
男性の肥満の割合は30.3%、女性は21.5%となっています。
特に40代男性の肥満割合は34.8%、
50代男性は33.4%と高くなっていますし、
年々日本人の肥満割合は増加していますので、
日本人も肥満に注意しなくてはいけません。
肥満の原因は腸内細菌???
肥満の原因というと、
食べ過ぎや運動不足が思い浮かびますよね。
最近の研究でもう1つの原因が浮かび上がってきました。
そのもう1つの原因とは、腸内細菌不足です。
腸内細菌というと、善玉菌や悪玉菌などがあり、
善玉菌を増やして腸内環境を整えると、
便秘が解消されるだけでなく、デトックス効果や
免疫力アップの効果まであることが証明されていますので、
腸内細菌はここ数年注目を集めているんです。
コーネル大学の研究で、
クリステンセネラセエという腸内細菌が
体型をスリムに保つことに役立っていることを発見しました。
マウス実験で、このクリステンセネラセエを移植されたマウスと
移植されていないマウスを比べると、
同じ餌を食べていたにも関わらず、
移植されたマウスは体重が増加しなかった
という結果が出ているんです。
抗生物質を使うことが増えたため、
人間に有効な腸内細菌が死んでしまい、
このクリステンセネラセエだけでなく、
体型維持に役立つ腸内細菌も死滅してしまったことが
肥満人口の増加につながっているのではないかという見方が
広がっています。
この研究が進めば、近い将来、
肥満の治療法は食事療法と運動療法に加えて、
体型維持に役立つ腸内細菌を移植する
という方法が活用されるようになるかもしれません。
肥満で脳が縮んでしまう?
肥満は高血圧や動脈硬化などの
生活習慣病を引き起こすことが知られていますが、
肥満は脳を収縮させる可能性があるという
研究結果が報告されています。
オーストラリア国立大学は60代を対象に
8年間研究を続けてきたところ、
肥満の人は大脳辺縁系の一部で記憶を司っている海馬が
1年で2%も収縮していることがわかったんです。
肥満ではない標準体重の人の収縮率は、
肥満の人の半分程度でした。
この海馬の収縮率はアルツハイマー病に匹敵するんです。
肥満がなぜ脳を収縮させるかはまだ解明されていませんが、
肥満の人は生活習慣病だけでなく
認知症になるリスクが高いということです。
BMI値が25以上の人は、
脳が収縮する前に体重を減らして肥満を解消するようにしましょう。