口内炎で鼻や顔が溶ける?壊疽性口内炎について知っておきましょう
壊疽性口内炎とは?
壊疽性口内炎という病気を聞いたことがありますか?
ただの「口内炎」は、
口の中を噛んでしまうなど傷をつけてしまったり、
栄養が偏った状態で起こりますが、
1週間から10日ほどで、自然に治りますよね。
でも、壊疽性口内炎は
死に至ることもある病気なんです。
壊疽性口内炎は、
急性の口内炎で発症から72時間以内に
歯茎や歯、鼻、口周辺の骨などが
壊死して溶けてしまう病気です。
日本でも壊疽性口内炎は水がんと呼ばれ、
戦前は死病として恐れられていましたが、
昭和30年代以降は日本での壊疽性口内炎は激減し、
今ではほとんど見ることはありません。
でも、アフリカの最貧国の1つであるニジェールでは、
現代でもこの壊疽性口内炎が猛威を振るっていて、
世界で14~18万人がかかるこの壊疽性口内炎のほとんどが
ニジェールで発生しているとされています。
壊疽性口内炎の原因
日本ではほとんど見られなくなった壊疽性口内炎の原因は、
口腔内の細菌感染です。
口腔内には多数の常在菌がいますが、
その常在菌が口腔内の傷から感染することで、
内炎ができ、そこから細胞の壊死が進んでいくんです。
でも、人間は誰でも口腔内に多数の常在菌がいますよね。
そして、現代の日本人の場合、
その常在菌は虫歯や歯周病の原因にはなりますが、
壊疽性口内炎の原因になることはありません。
それでは、なぜニジェールでは壊疽性口内炎が
猛威を振るっているんでしょうか?
それは、ニジェールが最貧国であることと関係しています。
ニジェールは最貧国であるために、
国民の栄養状態が非常に悪いんです。
栄養状態が悪ければ、抵抗力が極端に落ちますので、
ただの口内炎ではなく壊疽性口内炎へ移行し、
歯や歯茎、鼻、口周囲の組織が腐ってしまうんです。
戦前の日本では、栄養状態が悪かったために
壊疽性口内炎が発生していましたが、
戦後は栄養状態が改善しているため、
昭和30年代以降にはほぼ見られなくなりました。
壊疽性口内炎の予防
壊疽性口内炎は抗生剤の投与と安静、
そして栄養状態の改善が主な治療法になりますが、
壊疽性口内炎は進行のスピードが異常に速く、
発症から72時間後には壊死が進んでしまい、
顔や鼻が変形してしまいます。
気づいたときには既に
壊死が進んでいることも珍しくないんです。
また、ニジェールでは壊疽性口内炎で亡くなる90%の子どもが
基本的な治療を受ける前に亡くなっています。
そのため、壊疽性口内炎は、予防が大切になります。
壊疽性口内炎の予防は、
栄養状態を改善することと
壊疽性口内炎に関する知識を広めることです。
子どもが壊疽性口内炎にかかるリスクが高いニジェールでは、
母親への啓蒙を進めています。
日本でも壊疽性口内炎にかかるリスクは
ゼロというわけではありません。
極度の疲労やステロイドの使用などで
極端に免疫力が低下している場合は、
壊疽性口内炎になる可能性がありますので、
壊疽性口内炎の恐ろしさは知っておくようにしましょう。