アメーバ赤痢は日本でも感染する?アメーバ赤痢について知りましょう。
アメーバ赤痢が増加中
「アメーバ赤痢」は、あまりなじみのない病気ですよね。
「赤痢」という名前から怖い感染症だけど、
日本にはあまり関係ない病気と思っている人も
多いかもしれません。
でも、日本でアメーバ赤痢の患者が増加していて、
2016年は過去最多の患者数になるかもしれません。
国立感染症研究所の調査報告によると、
2016年のアメーバ赤痢の報告者数は5月29日時点で
473人となっています。
感染症発生動向調査事業が始まった1999年は276人でしたが、
それ以降は増加傾向が続き、
2014年は過去最多の1134人を記録しています。
そして、2016年は2014年を上回るペースで
患者数が増えていますので、このままのペースでいけば、
2016年はアメーバ赤痢の患者数が
過去最多を記録することになるでしょう。
都道府県別の患者数は東京が最多で、
大阪府、神奈川県と人口が多い大都市が続いています。
アメーバ赤痢とはどんな病気?
日本で増えているアメーバ赤痢とは、
どんな感染症なのでしょうか?
一般的に「赤痢」と言われている感染症は細菌性赤痢ですので、
アメーバ赤痢とは違うものです。
アメーバ赤痢は赤痢アメーバという原虫が原因の消化器感染症で、
日本の感染症法では五類感染症に指定されています。
アメーバ赤痢は、大腸や直腸に潰瘍を生じて、
イチゴゼリーのような粘液血便を1日数回から数十回します。
また、痙攣性の腹痛も症状の特徴の1つです。
通常は、アメーバ赤痢に感染しても軽症で済みますが、
赤痢アメーバが腸穿孔を起こして腹膜炎を起こしたり、
門脈を経由して肝臓に達すると、
腸外アメーバ症を発症し、重症化することもあります。
アメーバ赤痢での下痢便の中には
赤痢アメーバのシスト(嚢胞)が含まれていますので、
このシストが何らかの形で口に入ると感染を起こします。
アメーバ赤痢の治療と予防
アメーバ赤痢は熱帯や亜熱帯に多い感染症ですので、
以前は海外旅行者が日本に帰ってから
発症するケースが多かったのですが、
現在は感染した人の8~9割は海外渡航歴がないという状態です。
そのため、日本にいても
アメーバ赤痢に感染するリスクはあるのです。
アメーバ赤痢に感染したら、
水分補給をしっかりすることが大切です。
また、医療機関を受診して、メトロニダゾールなどの
抗原虫薬を服用することが一般的です。
アメーバ赤痢を予防するには、
飲食物を加熱すること、手洗いを励行すること、
適切な糞便処理をすることが大切になります。
また、性行為での感染も確認されており、
特に男性の同性愛者はアメーバ赤痢の感染者が
多いとされていますので、気をつけなければいけません。
アメーバ赤痢は海外ではなく
日本でも感染するリスクがある感染症であることを認識して、
日々の手洗い等はしっかりするようにしたいですね。