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やけどは応急処置が重要です。やけどの分類と応急処置を知りましょう。




重症やけどの怖さ

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8月15日に京都府福知山市の花火大会で露天が爆発し、
60人以上がやけどを負い、
3人が死亡するという痛ましい事故がありました。

死亡した10歳の男児は、
事故直後は全身にやけどを負いながらも、
意識ははっきりしていて、
医師の問いかけにも受け答えできていたのに、
事故から4日後に死亡しました。

なぜ、事故直後は意識があったのに、
死亡したのでしょう?

それは、重症やけどの怖さが原因なんです。

この10歳男児は、頭部や背中など
体表面の55%にⅡ度~Ⅲ度のやけどを負っていましたが
脳へのダメージはありませんでした。

体の半分以上が、重症のやけどを負っていたわけです。

大阪府立急性期・総合医療センターの
藤見救命救急センター長によると、

「頭部にダメージがないやけどの場合は、
事故直後は意識がしっかりしているが、
時間の経過と共に血液の循環が悪化し
死亡するケースは珍しくない」

とのことです。

今回のケースのように、
体の広範囲にわたる重症やけどを負った場合、
やけどの傷から浸出液がどんどん出てしまうことで、
点滴で補給しても間に合わないほどの
過度の脱水状態になって、
血液の水分量が減ってしまいます。

血液量が減ると、循環不全を起こし、
臓器に必要な酸素や栄養分が供給されなくなり、
脳などの重要臓器の働きが低下し、
臓器不全を起こすため、死亡してしまうのです。

やけどの重症度

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やけどは、その重症度によりⅠ度~Ⅲ度に分類されます。

Ⅰ度は赤み(紅班)が出るだけの軽い症状で、
痛みや熱感はありますが、数日で治ります。

Ⅱ度は、水疱(水ぶくれ)ができ、
強い痛みや知覚鈍麻、灼熱感などの症状が出ます。

Ⅱ度は、やけどの深さによって浅達性Ⅱ度(表皮まで)と
深達性Ⅱ度(真皮まで)に分けられ、
浅達性Ⅱ度は痕も残らずに10日ほどで治癒しますが、
深達性Ⅱ度のやけどは適切な治療を受けても、
治癒までに1ヶ月以上かかり、瘢痕が残ってしまいます。

Ⅲ度は、真皮全層や皮下組織までやけどが及んでいるので
皮膚が壊死してしまった状態です。

Ⅲ度やけどは痛みを感じませんが、
植皮などの外科的治療が必要となります。

深達性Ⅱ度のやけどが全身の30%
またはⅢ度のやけどが全身の10%以上にわたっている場合
重症やけどと診断されます。

やけどの応急処置

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やけどの応急処置は、まず「冷やす」ことが重要です。

狭い範囲の軽症やけど(Ⅰ度~浅達性Ⅱ度)は、
できるだけ早く流水や冷たいタオルで冷やしましょう。

この時、氷を使うと、血流障害が起きるため、
氷は使用しないで下さい。

また、水疱(水ぶくれ)ができた場合は、
潰してしまうと感染の危険があるため、
水ぶくれは潰さず、
ガーゼなどで保護しておくと良いでしょう。

やけどが広範囲に及んだり、
深いやけど(Ⅱ度~Ⅲ度)の場合は、
患部を清潔なタオルやシーツで覆って、
その上から水をかけて冷やすようにしましょう。

もし、衣服が患部にくっついている場合は、
無理に脱がすと皮膚がはがれてしまいますので、
衣服の上から水をかけて冷やしてください。

そして、できるだけ早く医療機関を
受診するようにしましょう。





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2013年8月27日 | カテゴリー:救急診療 皮膚

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