肝炎の中でも厄介なC型肝炎。C型肝炎の治療法が進化しています。
A型、B型、C型肝炎の違い
肝臓の病気である肝炎には、
A型、B型、C型、D型、E型などがありますが、
それぞれ何が違うのでしょう?
ここでは、代表的な肝炎である
A型、B型、C型肝炎の違いをご説明します。
A型肝炎の特徴は、経口感染であることです。
A型肝炎ウイルスに汚染された
水や食べ物を介して感染します。
主な症状は、発熱や倦怠感、食欲不振、嘔吐などで、
劇症肝炎に移行することは少なく、
適切な治療を行えば1~2ヶ月で完治するため、
比較的危険度の低い肝炎です。
B型肝炎は、体液や血液を介して感染しますが、
以前は母子感染が多かったのですが、
現在は有効なワクチンがあるため、
母子感染はほとんどなく、
性行為が原因で感染する性感染症の側面が
強くなっています。
B型肝炎は劇症肝炎へ移行する確率は低いですが、
約10%が慢性化し、
肝硬変・肝がんになる可能性があります。
C型肝炎も肝炎と同様に体液や血液を介して感染します。
C型肝炎ウイルスはB型よりも感染力が弱いため、
性行為で感染することはほとんどなく、
現在は医療機関での針刺し事故や
タトゥー(刺青)などでの針の使い回しなどが
主な感染経路になっています。
C型肝炎の恐ろしさ
A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎の中で
最も厄介なのがC型肝炎です。
A型肝炎、B型肝炎は
どちらも劇症化する可能性は少ないですし、
慢性化の確率も低いのですが、
C型肝炎は約70%が慢性化するんです。
C型肝炎が慢性化すると、数十年後に肝硬変に移行、
肝がんを発症することがあります。
C型肝炎の慢性化から肝硬変に移行する確率は約60%、
そして肝硬変発症後は年間7~8%が肝がんを発症します。
現在の肝がんの原因の80%がC型肝炎で、
日本には150~200万人の
C型肝炎ウイルス感染者がいると言われています。
進化するC型肝炎治療
厄介な病気であるC型肝炎ですが、
現在の行われている主な治療は
インターフェロンとリバビリン(抗ウイルス薬)の
2種類の薬剤の使用です。
インターフェロンはC型肝炎ウイルスに有効な薬剤ですが、
副作用として発熱や全身倦怠感、筋肉痛、食欲不振、
脱毛などが現れるほか、
重篤なものにはうつ病や甲状腺機能異常、間質性肺炎、
視力障害などがあります。
そして、2013年に新薬が認可されました。
その新薬はプロテアーゼ阻害薬のシメプレビルです。
従来のインターフェロンとリバビリンの2種類の投与だと
初回治療での著効率は57%でしたが、
シメプレビルを加えた3種類の投与の場合89%までアップし、
さらに治療期間も従来の半分になります。
さらに今後は、
C型肝炎に有効な数種類の薬剤が新たに認可される見通しで、
これらの薬は従来のものに比べて、
副作用が比較的少ないというメリットがあります。
治療法の進歩によって、
将来的にC型肝炎は「怖い病気」ではなく
完治可能な病気になるかもしれません。