イメージ画像

歯周病が肺炎を呼び起こすし早産のリスクに?全身病と呼ばれるその理由




成人の8割が罹患している歯周病

130521-6

程度の差はあれ、なんらかの歯周病を有する割合は、成人で
約8割にも達するという報告があります。
初期段階では自覚症状も少なく、知らない間に進行し歯がグラ
ついてから初めて歯科医院に駆け込むことも多く、日本人が
歯を失うほとんどの原因が歯周病です。


80歳になっても自分の歯を20本以上保とうということで、
厚生労働省と日本歯科医師会が「8020(ハチマルニイマル)
運動」を推進していますが、それを実現できている人は4分の1
程度で、80歳の平均では8本強しか自前の歯が残っていない
言う現実があります。

歯周病は細菌感染症であることを認識しよう

cont26-1

人間の口の中には500種類以上もの細菌が棲息し、そのうちの
約20種類が歯周病の発症に関連しています。
歯垢(プラーク)というのは、これらの細菌の集合体で、手入れの
不十分な口腔内で繁殖し、歯周組織をおびやかします。

歯周病は老化に伴う症状と考えられていたこともありますが、
加齢と共に唾液の分泌量が減少したり、免疫力が低下することで
細菌が繁殖しやすくなるのが、高齢者に歯周病患者が多く
見られる理由です。

初期段階では、歯肉に弾力がなくなり、腫れや出血が見られるように
なりますが、適切に対処すれば回復が期待できます。
しかし、強い毒性を持つ細菌が、歯を支えている歯槽骨を冒し始めると、
ほぼ再建は望みがたく、せめて隣り合わせの歯にまで悪影響を
及ぼさないように、抜歯するより他に選択肢がなくなります。

深刻な全身疾患につながる危険性も

cont28-4

歯周病が進行すると、深くなった歯周ポケットから歯周病菌が
体内に侵入したり、食道や気管を通じて体内に取り込まれたりして
様々な病気を引き起こすことが、1990年代後半に明らかになりました。
中でも深刻なのは高齢者の命を奪う『誤嚥性肺炎』です。

無意識のうちに肺に入った歯周病菌は、サイトカインと呼ばれる
特殊なタンパクを出します。

このタンパクが肺の表面で悪さをし、肺炎を起こす病原体に
感染しやすくなるよう作用するのです。他にも、サイトカインの
一種が、血糖値を下げるインスリンの働きを阻害して糖尿病を悪化
させたり、血管内に侵入した歯周病菌が、心臓に血液を送る冠状動脈に
到達して心疾患を起こさせるなど、多くの病気のリスク因子と
なっています。

妊娠前に済ませておきたい歯周病の治療

cont04

妊婦の体内に、歯肉の血管から歯周病菌が入り込むと、早産の
リスクが非常に高まります。
歯周病のある妊婦から低体重児が生まれる確率は、歯周病のない
妊婦に比べ、4.3倍にも上ります。

妊婦の体内では、歯周病菌の生み出したサイトカインが子宮の
収縮を促し、早産を誘発してしまうのです。
妊娠中はホルモンの変化や免疫力の低下などで、歯周病の進行も
早まりがちです。

検査や使える薬が制限されてしまいますので、治療もままなりません。
妊娠前には積極的に検査・治療を受けておきたいものです。





タグ



2013年5月21日 | カテゴリー:予防法 生活スタイル

あわせて読みたい関連記事