女性なのにひげが生えてきた?それは多嚢胞性卵巣症候群かもしれません。
女性なのにひげが生える?
ひげと言えば、男性の象徴とも言えるものですよね。
女性の場合、細い産毛が生えることはあっても、
太くて硬いひげは生えません。
男性にひげが生えて、女性には生えない理由は、
男性ホルモンです。
男性ホルモンは思春期の第二次性徴を迎えると、
精巣から男性ホルモンが盛んに分泌されるようになり、
その影響でひげが生えてくるんです。
実は女性でも男性ホルモンは
副腎や卵巣から分泌されているのですが、
分泌量は非常に少なく、
男性の5~10%程度となっています。
男性ホルモンの分泌量が少ないため、
女性はひげが生えないんですね。
でも、女性でもホルモンバランスが乱れると、
ひげが生えてしまう場合があるんです。
よく「おじさんのような生活をしている」、
「男性以上に働いている」などで
男性ホルモンが増えてひげが生える等と言いますが、
実際は男性のような生活をしていても、健康であれば、
女性なのにひげが生えてくるほど
男性ホルモンの分泌量が増えることはありません。
では、どういうときに
女性でもひげが生えてしまうのでしょう?
それは、多嚢胞性卵巣症候群になった時です。
多嚢胞性卵巣症候群とは?
多嚢胞性卵巣症候群とは、どんな病気でしょう?
月経がある女性は、毎月卵巣から排卵がありますよね。
でも、多嚢胞性卵巣症候群は、排卵が障害されることで、
卵巣内に卵胞が蓄積されていき、
月経異常や不妊が起こってしまう病気です。
この多嚢胞性卵巣症候群の原因は、
脳から分泌されている黄体化ホルモンと
インスリンの作用により、
卵巣内の男性ホルモンが多くなっていることが
原因とされていますが、
なぜ男性ホルモンが多くなるかなどの詳細な原因は
解明されていません。
多嚢胞性卵巣症候群は、
男性ホルモンの量が多くなってしまうため、ひげが生えたり、
毛深くなるなどの症状が出てきます。
また、にきびが増えるのも男性ホルモンが多くなるからです。
多嚢胞性卵巣症候群は、月経異常、不妊、
多毛などの症状のほかに、肥満も代表的な症状のひとつです。
多嚢胞性卵巣症候群の治療は?
多嚢胞性卵巣症候群の治療は、根本的な治療法はありません。
まず、妊娠を希望している場合は、排卵誘発剤を用いたり、
腹腔鏡手術で卵巣に穴を開けて
排卵しやすくする治療を行います。
妊娠を希望していない人は、
インスリン抵抗性を改善する薬の内服や
ピルを用いた月経周期の調整、
適正体重の維持などの対症療法を行いますので、
完治を目指す治療というよりも病気とうまく付き合っていき、
普段どおりの生活を送れるようにする治療をすることになります。
この多嚢胞性卵巣症候群は、決して珍しい病気ではなく、
20~40歳の女性の5~10%が発症すると言われています。
放っておくと、どんどん進行してしまいますので、
月経異常などの症状がある人は、
早めに婦人科を受診するようにしましょう。