「食べることを拒否」、「食べることを止められない」。摂食障害とはどんな病気?
摂食障害とは?
摂食障害という病気を聞いたことはありますか?
摂食障害とは、心理的な要因が原因で、
「食べること」に異常をきたす病気です。
「拒食症」や「過食症」は知っていると思いますが、
これらの総称が「摂食障害」になります。
摂食障害は、
先進国の若い女性に多いという特徴があります。
日本は1980年代から患者数が増加し始め、
2011年の首都圏での調査では、
中学3年生女子は約0.5%、
高校生女子は約0.25%が摂食障害、
またはその疑いありとの結果が出ています。
摂食障害の原因は、
人間関係のトラブルなどのストレスや社会適応性の未発達
コミュニケーションの不全などが原因とされていて、
依存症の一種で、「中枢性摂食異常症」として
厚生労働省から難病に指定されています。
摂食障害の種類
摂食障害は大きく「拒食症」と「過食症」に分類できます。
拒食症の主な症状は、極端な食事制限です。
約半数の患者さんがダイエットをきっかけに
拒食症を発症することがわかっています。
「食べることへの罪悪感」、「食べた後に嘔吐する」、
「人に食べているところを見られるのを嫌う」
などの症状が伴うこともあります。
標準体重の80%以下(アメリカでは85%以下)になると
拒食症と診断されます。
過食症は、
短時間に大量の食べ物を衝動的に食べる病気です。
健康な人でも「やけ食い」することがありますが、
やけ食いと異なる点は、
過食することを自分で抑制できずに繰り返すことです。
また、過食後は後悔や自責の念を感じることが特徴です。
拒食症から過食症へ移行するケースも珍しくなく、
半数以上で拒食症から過食症、
もしくは過食症から拒食症へと移行する
というデータがあります。
この拒食症や過食症以外にも、
むちゃ食い障害や睡眠関連摂食障害なども
摂食障害に含まれます。
摂食障害の影響
摂食障害を発症すると、
どのような健康への影響があるのでしょう?
過食症の場合、
肥満になり生活習慣病を発症しやすくなります。
過食症よりも問題が大きいのが拒食症です。
拒食症の場合、無月経や低血圧、脈拍数の減少、
低体温、肝機能障害、白血球の減少、貧血、
高コレステロール血症、電解質異常など
身体に様々な悪影響が起こり、低血糖や腎不全、
不整脈など命の危険が伴う病気を併発します。
難病情報センターのデータよると、
拒食症の5年後の予後は33%が治癒している一方で
死亡が6%にも上っています。
拒食症は死亡することもある恐ろしい病気なのです。
過食症も拒食症に移行するケースが多いですので
注意が必要です。
摂食障害の対策は?
摂食障害が疑われる場合には、
早期に精神科または心療内科を受診する必要があります。
カウンセリングや行動療法、
認知療法など精神療法を行い、
摂食障害の原因である心理的要因の問題を
解決していかなければいけません。
摂食障害の治療には、
数ヶ月から年単位の時間が必要となりますし、
周囲(特に家族)の協力が必要不可欠になります。
難病に指定されていますが、きちんと治療すれば、
80%以上が治癒または軽快する病気ですので
焦らずゆっくりと病気に向き合っていきましょう。