眠れる森の美女?眠り続ける病気クライン・レビン症候群について知りましょう。
眠り続ける病気?
「眠れる森の美女」という童話をご存知ですか?
魔女の呪いのせいで100年間も眠り続けたお姫様の話です。
魔女の呪いではありませんが、
同じように眠り続けてしまう病気があるのです。
イギリスの18歳の大学生の女性は、
ある日を境に丸1日中眠り続けるようになり、
その睡眠時間はどんどん延びて、
ついには6ヶ月間も眠り続けたというケースがあります。
この女性は当然ながら
眠っている間は大学に通うことができず、
大学を中退せざるを得なかったとのことです。
また、アメリカの17歳の少女も6歳の時に同じ病気にかかり、
現在では1度眠りにつくと約2ヶ月間眠り続けるそうです。
クライン・レビン症候群とは
眠れる森の美女のように
長期間にわたって眠り続けてしまう病気を、
クライン・レビン症候群と言います。
クライン・レビン症候群は、
数日から数週間にわたって眠り続けてしまう睡眠障害で、
世界でも約1000例しか報告がない珍しい病気です。
男女比は2:1と男性に多く、
10代で発症することが多いとされています。
クライン・レビン症候群の特徴は、
長期間にわたって眠り続けるものの、
トイレや食事など生理的な行動は
取ることができるという点です。
空腹を感じたり、トイレに行きたくなると、
ムクッと起き上がり、食事をしたりトイレに行ったりしますが
それらの用事が終わると、またベッドに戻り眠りにつきます。
これらの行動を取っているときは夢遊病状態で、
本人はそのことを全く覚えていません。
また、クライン・レビン症候群で眠っている時は、
普段よりも過食になる傾向があります。
クライン・レビン症候群は、これらの特徴のため、
発症直後はただ単に怠けてるだけとの誤解を受けやすく、
また病院を受診してもクライン・レビン症候群は
報告例が少ない珍しい病気で、
正しく診断されないケースもあると推測されています。
クライン・レビン症候群の原因と治療
クライン・レビン症候群は
10代で発症することが多いのですが、
なぜ発症するのか、その原因は解明されていません。
ただ、今までの報告例を見ると、
発症前に心身の疲労や頭の怪我、麻酔、発熱、飲酒などが
きっかけと見られるものがあり、
これらの行動と何らかの因果関係があるのではないかと
言われています。
クライン・レビン症候群の治療法は、薬物療法が主流で、
塩酸メチルフェニデートや硫酸アンフェタミンなどを
使用するのが一般的です。
また、30歳ごろまでには
自然治癒するケースも多く報告されています。
まだまだ報告例が少なく、
謎の多いクライン・レビン症候群ですが、
今後報告例が増えるにつれて、
この珍しい病気の原因やメカニズムが
解明されていくことが期待されています。