「首ポキ」肩こり解消どころかマイナス効果!?若年層を襲う出血性脳卒中の恐怖
首を鳴らしてもコリは解消されていない
長時間のデスクワークなどに就いていると、少し身体を伸ばし
たり深呼吸したりするついでに、つい首をポキポキッとやりたく
なりますよね。
なんとなく、コリが解消されて楽になったような気がします。
しかし、この「首ポキ」にそのような効果はありません。
その正体はまだ完全には解明されていませんが、首に限らず、
関節がポキポキと鳴るあの音は、関節を強く曲げた圧力で、
潤滑油の役割を果たしている液体中に発生した気泡が
弾けた音だという説が有力です。
頚椎のズレや変形は生命に関わることも
首を鳴らすと、気泡が弾けた時に衝撃波が発せられ、
周囲に広がって行くことで感じる気持ちよさや、音による
爽快感がクセになり、わざと鳴らそうと試みてしまう人も
多いのではないでしょうか。
しかし、繰り返しこの行為を行っていると、首の関節のズレや
変形が起きたり、靭帯がゆるんでしまうことが指摘されています。
衝撃により少しずつ侵食された関節や軟骨などを補おうとして、
トゲの様な骨ができてしまう『変形性頚椎症』が発症する
こともあります。
指の関節を鳴らすクセがあると、指が太くなることがありますが、
首は生命にもかかわる重要な部位です。頸椎に変形が生じ、
神経を圧迫されれば、腰痛や頭痛、自律神経失調症などの
原因ともなりますし、手足の痺れやまひにもつながります。
そればかりか、脳卒中を起こすリスクが高まるとの警告もあるのです。
若年層に多く見られる『脳動脈解離』とは
脳卒中というのは、脳の血管が破れたり詰まったりして、
その先に血液が流れなくなる病気の総称です。
一般的に、高血圧・高コレステロール・血管の老化など、
加齢につれリスクが高まるイメージですが、『脳動脈解離』は
若年層に多い出血性の脳卒中で、50代以下では脳卒中の
約4分の1がこのタイプです。
脳の血管の内膜という部分に亀裂が生じて血管壁の内部に
血液が入り込んでしまい、血管壁が裂けた状態になるものです。
もともと血管壁の強度が下がるような基礎疾患を持つ人に
起こりやすい病気ですが、首を過度にひねったり伸ばしたり
することが原因となることもあり、そのため、首を鳴らす動作が
危険視されています。
「首ポキ」のクセは百害あって一利なし
「首ポキ」の一番の危険性は、音を鳴らす行為そのものよりも、
依存性が高くクセになってしまうことにあります。
リスクを説かれてもなかなか自力ではやめられない人も多く、
その場合は医療機関に相談して、一時的に首を固定するなどの
処置が必要となるかもしれません。
先にご説明したとおり、首を鳴らしてコリが楽になるのは一種の
錯覚で、メリットは一切ありません。
首や肩がつらい時は、急激に力を加えて首を鳴らすのではなく、
ゆっくりとストレッチしたり温めたりして解消しましょう。