深刻な後遺症が残る日本脳炎。日本脳炎の予防接種はきちんと受けましょう。
韓国で日本脳炎注意報発令
韓国の釜山地域で、今年初めて日本脳炎ウイルスを媒介する
アカイエカの生息が確認されたため、
韓国の疾病管理本部は4月21日に韓国全土に
日本脳炎注意報を発令しました。
韓国では、疾病管理本部の定期的な流行予測事業を通じて、
その年に最初にアカイエカが発見された時点で
日本脳炎注意報が発令され、日本脳炎患者が発生したり、
アカイエカの密度が高い状況になった場合には、
日本脳炎警報が発令されることになっています。
最近10年間では、通常4月中旬以降に注意報が、
7月中旬以降に警報が発令されています。
では、日本においての日本脳炎の発生状況は
どうなっているのでしょう?
日本での発症数は、
1966年の2071人をピークに減少傾向にあり、
1992年以降は毎年10人以下になっていて、
患者のほとんどが高齢者となっています。
この理由としては、
衛生状況が改善しアカイエカが減少したことと
日本脳炎のワクチン接種が進んだことが挙げられます。
患者に高齢者が多いのは、
ワクチン接種を受けていない年代であるためと
考えられています。
日本脳炎はどんな病気?
日本脳炎は、アカイエカなどの蚊が媒介する
ウイルス性の感染症です。
日本脳炎は、日本のほかに韓国や東南アジア、
インドなどで発生しています。
日本脳炎ウイルスに汚染された蚊に刺されても、
全ての人が日本脳炎になるわけではなく、
ウイルスに感染した人の0.1~1%しか発病しません。
日本脳炎は6~16日の潜伏期間を経た後、
高熱や頭痛、嘔吐、下痢などの症状が現れ、
意識障害や痙攣などが起こります。
根本的な治療法はなく、対症療法のみとなり、
致死率は20%前後となっています。
死に至らず一命を取り留めた場合でも、
50%程度が脳に深刻なダメージが残り、
後遺症に苦しむようです。
日本脳炎は予防接種が有効
日本脳炎を予防するには、蚊に刺されないことが重要ですが
虫除け対策をしても全く蚊に刺されないというのは、
事実上不可能ですよね。
蚊に刺されない以外の予防法は、予防接種が有効です。
現在、日本脳炎は定期接種となっていますので、
原則無料で予防接種を受けることができます。
接種時期は、通常3歳で2回、4歳で追加接種1回、
9歳で1回接種となっています。
ただ、平成17年度から平成21年度までは、
ワクチンの重篤な副作用が報告されていたため、
厚生労働省は「積極的勧奨の差し控え」を行っていました。
そのため、平成7年~18年度に生まれたお子さんは、
日本脳炎のワクチン接種の機会を逃している可能性があります。
現在は、新たなワクチンが開発されて、
通常通り定期接種できるようになっていますので、
日本脳炎ワクチンを
「いつ、何回受けたか」を母子手帳などで確認し、
主治医と相談しながら、
日本脳炎の予防接種を確実に受けるようにしましょう。